小藤石 kotoite Mg3(BO3)2   戻る 

斜方晶系 二軸性(+),2Vz=20° α=1.652 β=1.653 γ=1.674 γ-α=0.022

形態:一見して粒状に見える。しかし,クロスニコルでその離ればなれの10〜数10粒が同時に消光するので,実は樹枝状結晶であり,その断面が粒状結晶の集団に見えているものである(※ドロマイトスカルン中のかんらん石も同様な形態をなすことがある)。

色・多色性:無色で多色性なし。

消光角:定義されない。

へき開:認められない。

伸長:定義されない。

双晶:なし。

累帯構造:なし。

産状
ドロマイトスカルンに産する。


ドロマイトスカルン中の小藤石  Ko:小藤石,Cal:方解石
ホウ素の鉱化作用を受けたドロマイトスカルンに見られるもの。かんらん石もドロマイトスカルンから多産し,よく似るが,小藤石はかんらん石よりも干渉色が低く(1次と2次の境の紫色までで,淡黄〜橙色のことが多い),光軸角は2Vz=20°程度なので区別できる。小藤石の周囲の炭酸塩鉱物は方解石のことが多い(もとのドロマイトは接触変成時にそのMgが,小藤石・かんらん石・金雲母・スピネルなどになるため,Mgが抜けて方解石に変わることが多い)。
なお,小藤石・かんらん石ともに,方解石中に一見,粒状で散在し,いずれも上画像のように,その数10粒の離ればなれの粒がほぼ同時に消光する。これは1つの小藤石やかんらん石の樹枝状結晶の断面が,離ればなれの数10粒の粒状集合体に見えているものである。

小藤石を含むドロマイトスカルンには,同じくホウ酸塩鉱物である下画像のようなルドイヒ石:Ld(斜方晶系 Mg2Fe3+BO5)を伴うことがあり,それは黒色に近い柱状で,透明度が低く,ごく薄い部分だけが光を透し,褐黒〜青緑黒色の強い多色性を示す(電気石よりもはるかに濃色で不透明に近い)。直消光で干渉色は非常に高い。この存在も小藤石の同定の手がかりになる。